

世界選手権、高梨3位銅メダル
photo:Oberstdorf 2021 『世界選手権、高梨3位銅メダル』 オーベルスドルフ世界選手権開幕の女子ノーマルヒル。 力感あるサッツで空中スピードの鋭さが増した高梨沙羅(クラレ)が2本まとめて3位表彰台へ昇った。 2位はここまでパワーを温存させていたルンビ(ノルウェー)、そしてクリネツ(スロベニア)が集中力あるジャンプで優勝した。 終始、追い風で無風もある状況で、なぜか2本目にゲートを下げられた1本目首位のクランマー(オーストリア)が踏み切りの力強さがなく失速で4位。このあたりは、ショウアップさせるならそのままのゲートであるのだが。なんとも難しさのある判断といえそうだ。 ●2021世界選手権 女子ノーマルヒル 高梨沙羅(クラレ)銅メダル 伊藤有希(土屋ホーム)11位 丸山希(明大)20位 勢藤優花(北海道ハイテクAC)22位


ジュニアの殿堂、宮様ジャンプ大会
『ジュニアの殿堂、宮様ジャンプ大会』 冬日の合間、やや暖かくなった2月14日(日)に、大倉山の麓にある荒井山シャンツェで宮様ジュニアジャンプ大会が行われた。 これには遠方の名寄や下川、士別朝日や旭川からも選手がエントリー。小学生1部と2部、中学生の部で、全員が素晴らしいジャンプを見せてくれた。 ミディアムヒルとスモールヒル、ミニヒルで懸命に飛んで着地を決める選手たちの姿は将来のヒーローとヒロイン。 願うことなら、高校や大学、社会人になっても長くジャンプを続けてほしい。そういう気持ちで眺めていた。 今シーズンは全国中学がなくなり、ローカルの子供たちの大会も少なくなってしまい、それだけに、この宮様大会は安全に充分に気を配した素晴らしい大会となった。 それぞれが青い空へ、思い切り飛び出す姿は、それはもう美しさそのものだった。 写真・文/岩瀬孝文 photo & text by Yoshifumi Iwase 札幌荒井山シャンツェ


団体戦で表彰台へ
『団体戦で表彰台へ』 雪が少ないドイツ・オーベルスドルフで今日から試合が始まる世界選手権の直前、城下町のルーマニア・ルシュノブでのW杯最終試合の混合団体には丸山希(明大)、佐藤幸椰(雪印メグミルク)、高梨沙羅(クラレ)、小林陵侑(土屋ホーム)のメンバーが出場して、僅差で第4位となった。これはまずまずの成績であり、先には表彰台も見えてくるのだが…。 ただ、厳しい見方をすると、例えばドイツの女子とオーストリア男子の飛車角落ちは否めない。もし、それがフルメンバー出場であった場合に、さて、日本チームはより一層のまとまりで対抗するのが本筋となる。 今後のためにも、やはりチーム戦はしっかりと取っておきたい。 さてノルディックスキー世界選手権ジャンプの開幕は女子ノーマルヒル、今夜午前1時の開始だ。 頑張れニッポン! 写真・文/岩瀬孝文 photo & text by Yoshifumi Iwase 丸山 希(明大:野沢温泉出身)


小林陵侑W杯18勝 葛西を超えた
『小林陵侑W杯18勝、葛西を超えた』 それは日本の新記録となるW杯18勝だった。 この試合も圧倒して優勝かと思われていたW杯個人総合首位を走るグラネル(ノルウェー)が2本目にスーツ違反で失格。いわばタナボタ勝利であるが、勝ちは勝ち。 「早く、わたしの記録を抜いてくれ」というW杯17勝の葛西紀明選手兼監督(土屋ホーム)は、いつもながら将来性ある後進へと熱くエールを送っていた。 そこにはアプローチの腰をいくらか高めにしての速やかに飛び出し、それと空中の安定感があった。繊細でより正確なジャンプ技術が必要とされるノーマルヒルを、しっかりと飛び抜けて掴んだ小林の勝利だ。 今季初勝利となったザコパネW杯(ポーランド)の勝利は、激しい降雪でアプローチのスピード不足が生じ強豪勢が飛距離を出せずに終わり、それよりも早めに飛んでいた小林が勝利するという、ラッキーといえそうな勝ち方。 厳しめな見解をいえば、他を圧倒して下す優勝を観たくもあり。 いや、それは本人が充分に認識しているところ。必ず内なる発奮材料としているはずだ。 今月23日からのオーベルスドルフ世界選手権(


高梨沙羅W杯60勝達成!
『高梨沙羅W杯60勝達成!』 ついに世界記録となる女子W杯60勝を達成した高梨沙羅(クラレ)。 今シーズンは夏場からじっくりトレーニングにあたり、新しいテクニックを身につけて、迎えたルシュノブ(ルーマニア)のノーマルヒルだった。 それは安定したアプローチと力強いサッツから、スピード豊かな躍動であった。 とくに踏み切りで前方向へ身体を進める速さが抜群に磨かれていた。 惜しむらくは、対抗してくる、ここまで無欲で好調に飛ばしていたクバンダル(ノルウェー)の転倒と離脱、クラマー(オーストリア)のスーツ失格など、そして女王ルンビ(ノルウェー)やアルトハウス(ドイツ)ら強豪選手たちが今季はマイペース調整していることだ。 欧州の情勢からみてそれは無理もないことだが、これを踏まえての評価と成り得るのは本人も熟知の上だ。 現在、W杯個人総合首位を行く若手のクリジュナル(スロベニア)が611ポイント、高梨はそこからわずか5ポイント差で2位につけた。 今後さらに真剣な眼差しで、この先のオーベルスドルフ世界選手権(ドイツ)でメダル獲得をめざし、その勢いを持って後半戦での


次へ、さらに次へと。
『次へ、さらに次へと』 完全に狙える2連勝、それは1日おいた雪印メグミルク杯とTVh杯の圧倒的な勝利だ。 国内大会における連勝で小林諭果(CHINTAI)の名を内外へと、しめしたかった。 「どうにも動きが悪くて、1本目はタイミング遅れ、2本目はもっと伸びていける風をもらいながら、なんです」 ジャンプを振り返る言葉がすぐに出てこない。 失速でもなく、失敗のジャンプでもない。ただただ、自分のメンタルの置きどころおよびモチベーションの持っていき方を、とにかく責めた。 「ダメですね、もっと陸トレをしないといけませんね」 悔しさにまみれながら、精いっぱい、先の試合への心構えを言う。 それでも2本目には最長不倒距離の126mを飛んで6位から4位へと上昇、表彰台へは、わずかの差までに迫った。 「こういう試合は勝たなければならないでしょう」 一戸剛コーチ(早大スキー部監督)は、クールなまでにそう言い切った。 それは何のためにジャンプしているんだ、よく気を引き締めなさいとのアドバイスだった。 また良い風が吹いてくれなかった茂野美咲(CHINTAI)は、1本目3位か


圧勝を遂げた小林諭果
『圧勝を遂げた小林諭果』 それはもう、他の追い上げを許さない、気迫にあふれた雪印メグミルク杯の優勝だった。 ここまで夏場から入念にトレーニングを積んできた小林諭果(CHINTAI)である。 とくに筋力アップは著しく、それがいよいよジャンプに活きてきていた。 「落ち着いて飛べるのです。一戸コーチのアドバイスを受けてしっかりと練習してきましたから」 ときに白馬、あるいは基礎練習として飯山のジャンプ台を早大の後輩や注目の高校生一戸くる実さんと一緒に、繰り返し飛び、飛躍本数を重ねてきた。 「自信を持って冬に入ることができたと思います」 それはアプローチスピードの上昇と確かな踏み切りそして安定した空中姿勢へと現れた。 そして得意とする大倉山のラージヒルで素晴らしいジャンプを連発。 「おごった言い方ではありませんが、いまの国内においては勝つことが大事。それに開幕戦の名寄は力んだこともあって、あまり良い成績を残せなくてその悔しさもありました。それに兄弟(潤志郎と陵侑)が世界で活躍しているので同じフィールドに立ちたくもあって」 この先の実現できる夢を追いながらユ


茂野美咲、勇躍の3位表彰台
『茂野美咲、勇躍の3位表彰台』 思い通りのジャンプができないと、悩んだままシーズンに突入して2月。 茂野美咲(CHINTAI)はついに新しいマテリアルをものにした。 「ようやく、やるべきことができました」 いつもの“やるやる”フレーズだが、それはもう、うれしそうに言ってきた。 雪印メグミルク カツゲンカップ2021は宮の森ノーマルヒルで行われた。 いまの技術をチェックするにはうってつけの台。終始荒れ気味の風ながら、茂野の2本目には無風となり、ムリなく伸ばしていって3位表彰台。 ジャンプ後のフィニッシュゾーンではあたり一面に明るさを振りまいた。 新しいスキー、スラットナーの特性を掴んだのだった。それは好ましい前傾が戻った空中姿勢に見て取れた。 『ひとつひとつ進む大切さ、そして丁寧に』 それを念頭に、真剣なまなざしと落ち着きにあふれた姿だ。 俄然、これからの国内試合が楽しみになってきた。 新進のマテリアルをものにしたミサキは、強いぞ。 [飛べ飛べCHINTAIその②] 写真・文/岩瀬孝文 photo & text by Yoshifumi Iwase


高梨沙羅、万全の2連勝を飾る
『高梨沙羅、万全の2連勝を飾る』 このHS90mと小ぶりな台ヒンツェンバッハ(オーストリア)における2本目を見れば一目瞭然だった。あの乱れた風を左右のスキーでコントロールして、この日、最長不倒となる92.5mを記録して優勝。それも抜群の集中力がものをいった。 今回のW杯期間中にスーツ違反で失格となったのは上川町出身の高梨沙羅(クラレ)と勢藤優花(北海道ハイテクAC)そして下川町出身の伊藤有希(土屋ホーム)である。 なぜ、いきなりの厳しいチェックなのか、ともすれば日本チームを狙い撃ちしてなどという憶測さえ浮ぶ声もあった。しかし、近年において飛距離が伸びてきた女子選手に、それを是正しながら安全な大会運営を願う意味合いがあった。 その場で受けた心のショックをぐっと抑えて、どうして?とネガティブにならず、それぞれがまっとうに飛ぼうと、意識を新たにしていた。 「チームのサポートがあり、それに感謝しています」 と静かに語った高梨選手。 実際に日本チームではミシンを持ち込み、小まめな修正を繰り返して、今季からの新ルール、ジャンプスーツの新しいカッティングに対応


高梨沙羅W杯58勝達成!!
『高梨沙羅W杯58勝達成!!』 ついに成し遂げた高梨沙羅選手(クラレ)の女子ジャンプW杯58勝だった。 ヒンツェンバッハ(オーストリア)の2試合目、ここはHS90mというやや小ぶりで、昔ながらの正確で繊細な技術を必要とする台だった。 小雪のためジャンプ台には雪が貼り付けられ、それが冷えた風でいびつに固まりアプローチスピードが出ていた。 当地の3連戦で、高梨選手は初戦のスーツ違反失格から一転、抜群に集中力を高めて1、2本目ともに90mちょうど、そしてテレマークをしっかりと決めた。 2位のクリジナル(スロベニア)の追い上げを跳ねのけた勝利、それもわずか0.4ポイントの僅差で堂々と勝ち切ってみせた。 前日のスーツにおける失格は、太もも部分が少し太いという計測の理由であった。 今シーズンは、さらに厳密なカッティングになったことから、試合前後の計測はよりシビアになっていた。 それもダイナミックな復調のジャンプを見せた勢藤優花(北海道ハイテクAC)が失格、伊藤有希(土屋ホーム)は戸惑いながら予選落ちしてしまった。それは優勝候補の地元クラマー(オーストリア)す