次へ、さらに次へと。
『次へ、さらに次へと』
完全に狙える2連勝、それは1日おいた雪印メグミルク杯とTVh杯の圧倒的な勝利だ。
国内大会における連勝で小林諭果(CHINTAI)の名を内外へと、しめしたかった。
「どうにも動きが悪くて、1本目はタイミング遅れ、2本目はもっと伸びていける風をもらいながら、なんです」
ジャンプを振り返る言葉がすぐに出てこない。
失速でもなく、失敗のジャンプでもない。ただただ、自分のメンタルの置きどころおよびモチベーションの持っていき方を、とにかく責めた。
「ダメですね、もっと陸トレをしないといけませんね」
悔しさにまみれながら、精いっぱい、先の試合への心構えを言う。
それでも2本目には最長不倒距離の126mを飛んで6位から4位へと上昇、表彰台へは、わずかの差までに迫った。
「こういう試合は勝たなければならないでしょう」
一戸剛コーチ(早大スキー部監督)は、クールなまでにそう言い切った。
それは何のためにジャンプしているんだ、よく気を引き締めなさいとのアドバイスだった。
また良い風が吹いてくれなかった茂野美咲(CHINTAI)は、1本目3位から7位へと後退。
そして、なによりも優勝が決まったのに控室に戻ってしまった中山和(下川商)に優勝を知らせに走ったのだから、これも後輩思いの一幕であった。
[飛べ飛べCHINTAIその④]
写真・文/岩瀬孝文
photo & text by Yoshifumi Iwase
茂野美咲
小林諭果