

『希望と悲哀』
『希望と悲哀』 秋の全日本選手権2試合で上位に入ってくると、冬、第1回目のW杯海外遠征メンバーに選出される可能性が高い。それだけにどの選手も万全な調整と集中力を持って、五輪シャンツェの長野白馬ノーマルヒルとラージヒルに挑んだ。 女子では高梨沙羅(クラレ)が連勝、伊藤有希(土屋ホーム)がともに2位と好調をアピールしていた。 また男子では個人総合2連覇を目指す小林陵侑(土屋ホーム)がラージヒルで圧勝、新鋭の二階堂連(日本ビール)がノーマルヒルを制した。 ラージヒルが得意な大型ジャンパー小林諭果(CHINTAI)は代表入りの期待感に包まれていたが、緊張のあまりなのかノーマルヒル1本目で転倒、身体が痛む中でのラージヒルにおいても転倒してしまった。 「飛ぶのが怖くて」と意気消沈しながらのラージヒル2本目には123.5mを飛んで、ダブルの着地をみせた。 いろいろな葛藤はあるとはいえ、しばらくすると心を切り替えて、次週土日に開催されるサマージャンプ最終シリーズの札幌大倉山、UHB杯とNHK杯へ気を新たにしていた。 小林諭果(CHINTAI)ノーマルヒル 小林諭


小林、鹿角で優勝
『小林、鹿角で優勝』 サマーグランプリ後半戦の欧州遠征を終えて帰国直後に、休む間もなく東北秋田のジャンプ3連台で有名な鹿角花輪へと長距離移動した小林諭果選手(CHINTAI)だった。 もとからあまり得意としていないノーマルヒル、しかもやや小ぶりなシャンツェ。 「ここは、苦手なんですよ~」 と以前から言っていたわりには、目の色が違った。 ていねいに飛び抜けて、しっかりと飛距離を伸ばしてテレマークを入れる。 その基本が忠実にできあがっていたのである。 「前日の公式練習から良い風を受けて、いい感じで飛べていたんですよ。今日のトライアルもそうでした」 自信を持ってサッツを飛び出し、高く伸びていき、着地もぶれることなくしっかりと決めていた。 サマーグランプリのドイツ最終戦では2本目に残り、16位とまずまずの成績でポイントを得ていた。 その長身を利したジャンプで、いわばノルウェー型でラージヒルに強さを発揮するタイプ。 それが今回の遠征と海外合宿とレーニンングで基軸を見出してのノーマルヒル優勝だ。 1本目の78mは最長不倒距離、2本目も1位と完全勝利を飾った。