ここから巻き返しだ。

無風に近い山形蔵王。
夕暮れとともに冷え込みが厳しく、指先が痛み出すくらい。
ランディングバーンに沿って横に長く広がった観客は、エイブル応援団の
掛け声にリードされて日本選手に最大の声援を送っていた。
新記録の54勝を狙っていた高梨沙羅(クラレ)は大きく飛び出したが、
なぜか空中のスピードがない。
好調時であればそれこそ、うなりをあげてぐんぐんと伸びていったのだが
いまや、きれいに降りていくイメージにあり、そこそこの飛距離は出る
ものの圧倒したそれとは違うシルエットであった。
しかも100m台を2本揃えて圧勝したルンビ(ノルウェー)は力まかせ
の飛びから、流れていくような技術をミックスさせた高いフライトで、
ビッグジャンプを連発させていた。
さらに新進気鋭ホルツル(オーストリア)は山形蔵王のシャンツェと相性
がよく、鋭く弾丸のような突っ込みで飛距離を伸ばしてきていた。
日本勢はそこでどのように対応していけば良いのだろう。
高梨4位に伊藤有希(土屋ホーム)が5位。長身でアプローチスピードが
出る勢藤優花(北海道ハイテクAC)がひとケタ8位に入ってきた。
サッツ後に横風にあおられてしまった小林諭果(CHINTAI)は残念だったが、
茂野美咲(CHINTAI)が集中力抜群のジャンプで21位になった。
それらが救いのようでもあるが、表彰式に地元日本の選手がいないという、
静かな表彰台を見つめることになった。
いや、気を取り直して、今日の団体戦で圧勝と行こう。
強敵ドイツの飛車角抜きはやや癪でもあるが、そこは日本の実力をとくと
みせつけていけば良い。頑張ろうジャパン女子。