哀愁と感謝のマンニネンとアホネン

なぜ、ここで、走るのだろう。
なぜ、いまだ、飛んでいるのだろう。
北欧フィンランドの名門ラハティのクロカンコースをひたすらに走るハンヌ・マンニネン、
そしてラハティのシャンツェを飛びぬけたヤンネ・アホネンだった。
どちらも世界王者、2000年代当初から、かの名声をほしいままにした。
『私の姿を観て国民の皆さんが、希望に満ちてくれればそれでいい』(マンニネン)
『なんでいま飛んでいるのだろう、いや、そうしなければならない』(アホネン)
ともにラハティ世界選手権の会場で2月、写真を撮っていて、そういう想いと彼らの小さなささやきが聞こえてきたように感じた。そう、そのような気がした。
航空機パイロットの仕事をしばらく休んで、よくみればクロカンワンピの下腹がぷよぷよなんだな、マンニネン。
まるで修行僧のように、チームから請われて現役選手を続け、なぜ、飛ぶのかと自問自答を繰り返す、アホネン。
しかし、表彰台を目指して複合団体リレーのアンカーを走るマンニネン、前半は鋭いまでに追い上げたがずるずると後退していった。
果敢にサッツを飛び出したが、ラハティ特有なバックの風にしてやられて、シニカルな微笑をみせながら、落とされていくアホネン。
それは、悲哀であった。
だが、フィンランドの皆さんは最後まで暖かい拍手を送った。
「よく頑張った、元気になれたよ。マンニネン、アホネン、ありがとう」
クロスカントリスキーのコースサイドをてくてく歩いて、スタジアムへ帰るとき、みんなが喜び拍手をし続けていた、いつまでも。
これぞスポーツ文化、スキー文化なんだと思う、わが日本の皆さん。
目の前のメダルの個数も重要なのだと思うが、そろそろこういう真の文化にまみれてみても、よろしいのでは。きたる2020年の東京そして2030年の札幌において。
建国100年おめでとうございます親しきフィンランド。
