かくありき伊東大貴

その寡黙でクールな眼差しの伊東大貴(雪印メグミルク)は、ジャンプ台を訪れるファンの心を魅了していた。そのもの抜群の集中力と、中学生のときから日本の最前線で飛びこなしてきた経験が、いま充分に活きてきている。
とくに好調な時はサッツを飛び出してから、右方向へ寄っていってしまう(観客席からみて左側)という良いクセが見られ、それはもう会心の飛距離を生み出していた。
しかし、先シーズンのジャンプ週間手前あたりから、不調の波に包まれ悩み、そこで帰国の道を選択した。その大貴をていねいな指導で復活させたのが、あの岡部孝信コーチ(雪印メグミルク)。それで2月のラハティ世界選手権では日本選手トップの成績を生み出した。
今季はどうやら12月の欧州W杯とジャンプ週間に、雪印メグミルクの岡部孝信コーチと重鎮である原田雅彦監督が帯同する予定があり、これで2月のビッグイベントに向けて心強いまま、大いなる飛翔が期待できそうだ。

それはまた、右寄りに着地していく彼の鋭いジャンプをにこやかに撮影できるときであろう。
この冬はいろいろと楽しみになってきた。