宮様大会を制した茂野美咲

『宮様大会を制した茂野美咲』
悩み抜いた今シーズンだった。
その茂野美咲(CHINTAI)がついに表彰台の中央に立った。
「夏からの情勢で心が折れてしまって。せっかく作り上げた筋力などが無駄になってしまうと、それに海外遠征の道も途絶えて。でも、やるべきことをやろうとしました」
夏の試合がなくなり、遠征メンバーも前年を踏襲することになった。
そのためモチベーションはガクンと落ち、飛距離もままならずであった。
「あれはもう落ち込んでしまった秋でした。結果を出したいのにその試合がなくて。それだけにいまは試合運営の皆さんに感謝しています。もちろん長く見守ってくれていた会社の皆さんにも」
そこで満面の笑みを浮かべた。
今季から新しいメーカーのスキーに変えて、それに慣れてきた年明け。それまでの熱い思いをぶつけるようなスムーズな空中姿勢をみせて望む飛距離が生まれてきていた。
考えてみれば3月のこの時期は、前年は中止になっていたが、18年、19年と2連覇していた宮様大会大倉山ラージヒルである。
輝きの宮様大会3連覇!
それはもう歓喜にまみれた瞬間だった。
表彰台では新進気鋭の高校生に挟まれ、実際にベテラン健在をアピールしてみせた。
「若い子たちにはまだまだ負けないぞって(笑)。自分でも成長していくのがとても楽しみです。それにレジェンド葛西さんも頑張っていて、しっかりとついていきます!」
とみに意気軒高、まだまだ成長を続けていくミサキさんだ。
1本目に3位から逆転勝利を狙った小林諭果(CHINTAI)は得意とする大倉山だったが、
「良い風を受けたのですが…悔しいです」
第4位、真一文字に口をかみしめ、次への飛翔に期した。
[飛べ飛べCHINTAIその⑦]
写真・文/岩瀬孝文
photo & text by Yoshifumi Iwase
茂野美咲
小林諭果