シーズンを終えて

『シーズンを終えて』
ワールドシーンを観てみると快挙がふたつあった。
それは男子でW杯19勝をあげた小林陵侑(土屋ホーム)。
フライングの名門大会プラニツァ(SLO)のフライング初戦において、他を圧倒した見事な勝利だった。
さあ、来シーズン以降も、どんどんと勝ち続けよう!
そしてW杯109回の表彰台に昇った高梨沙羅(クラレ)である。これも素晴らしい記録だ。
全日本女子チームの海外遠征は、今季について前年のメンバーを踏襲した。それはウイルスにおける遠征と移動の難しさからとみられた。
それにより国内選手との入れ替えはなくなり、女子国内トップ層である岩佐明香(大林組)、ラージヒルがとても得意な小林諭果(CHINTAI)さらにベテランでジャンプの酸いも甘いも知る茂野美咲(CHINTAI)並びに新進気鋭の女子高生たちは、やはりモチベーションが下がってしまった。
たとえば、クロスカントリースキーチームの新潟十日町全日本選手権で実施された世界選手権代表決定戦のようなシステムがあれば、国内残留組も納得したように考えられる。そのクロカンスキーに可能で、ジャンプにできないわけはない。ここで代表の座を掴んだ、気迫あふれる土屋正恵(弘果SRC)と横濱汐莉(日大)はオーベルスドルフ世界選手権で確実に試合経験を積んだ。
「正直、いまの日本代表選手に勝つ自信はあります!」
最終戦の伊藤杯ファイナルで、そう冷静に述べてもいた小林諭果(CHINTAI)だった。それは1本目首位に立つこと度々、その上で勝利した自信もあろう。また、選手のお姉さん役で、いつもまわりを明るくしようと心掛けている茂野美咲(CHINTAI)もそうだ。オスロ世界選手選手権代表はダテではない。
ともあれ、さあ、来シーズンこそ。
チャンスは門を広くしてやってくる。
[飛べ飛べCHINTAIその⑧]
写真・文/岩瀬孝文
photo & text by Yoshifumi Iwase

小林諭果

茂野美咲